NO.9｜ときどき日記

9月の甥（虫好き）の5歳の誕生日に昆虫図鑑を贈ったのです。
そしたら「ねぇおかあさん！　かまきりの目ってすごいんよ！」だの「ねぇおかあさん、タガメってねえ！」だのと、毎日張り切って昆虫情報を教えてくれるようになったそうで、このまま図鑑ブームが続いたら私の妹も虫に詳しい主婦になれるかもしれません。

まだひらがなしか読めないけど、ふりがなさえあれば漢字交じりの文章も読めるという彼。
「面倒がらずにルビを読んでくれるならすぐに漢字も読めるようになるかもね～」と妹に言ってみたら
「うーん、どうなんだろう。この間『あっ、あおいってかいてあるよ！』って、『黒い』っていう文字を指差して言ってたけど」
とのことで、「ああ、まだ色々漠然としてるんだね……」っていう。

甥は昆虫図鑑の他に恐竜図鑑が日々の愛読書で、他にはウルトラマンやガンダムの『大百科』みたいな絵本に夢中らしく、カタカナもずいぶん覚えたようです。
新しく覚えた単語は使いたいものなのか、最近は「ハイパーごちそうさま！」とか「ゴールデンごちそうさま！！」とか言うんだけど、ただ使いたいだけなのか美味しかったという意味なのか掴みかねている、と妹が言っておりました。
「ゴールデンヘラクレスっていうカブトムシがあの子の好きなドラえもんの映画に出て来たことは確かなんだけど」って。
いや、出典の問題ではないような気がするんだけどどうだろう。

生れつき女子力の高い2歳10ヵ月の姪っ子（あの性格、誰に似たんだか全然わからない）はますます女っぽさに磨きがかかり、この間遂に
「あたし、アイドル」
と言い出したそうです。
わ～、とうとうアイドルという存在に気づいてしまったか、と動揺しつつ
「じゃあアイドル、洗濯物のパッチン外すの手伝って」
と妹が命じたら、しばらく経ってからはっとして
「……あたしアイドルなのに、なんでこんなことせないけんの？」
と首を傾げられたのだとか。
「そりゃあアイドルも生活があるんだから、洗濯や掃除ぐらいするでしょうよ」と苦笑したら
「そうなの！　よそのお母さんにその話をしたら、『アイドルだっておうち帰ったら洗濯せないかんからねえ』って（娘が）言われててはっとした」
と妹が言うので、姉として軽く心配になりました。なんできみまではっとするのだ。

姪は何かになりきるタイプらしく、兄妹で戦いごっこをするときはプリキュアの台詞を勇ましく言い放つらしいんですが（それに対して甥は四つん這いになって「ヘラクレス！」と迫真のカブトムシの物まねで応じるため、かなりの異次元対戦）、不意にお姫様モードのスイッチが入ると
「ねえあなた（お母さん）、オーロラひめをやって」
と唐突におしとやか（だと本人が思っている話し方や身振り）になるのだそうです。
「あたし、アリエル……」
などとしなをつくり、声もなんだかひそひそと小さくなるらしい。
そんな娘に付き合って「そう、あなたアリエルっていうのね。私はオーロラ姫。あなたはどこから来たの？」と言ったら
「アリエル、ふくおかからきたの」
と楚々とした様子で言われて愕然とした、と、そういえばこの前妹が言っていた。
「だって海から来たとかそういう答えを予期してたから、まさか福岡からがくるとは思わなくて。びっくりしてちょっと返事ができなかった」
……私も人のことは言えないけど、簡単にびっくりしすぎだと思う。