NO.9｜ときどき日記

『RIDE.210　二人の絆』って、今泉くんいつの間に鳴子と恋に落ちてたの？　ここに至るまでに一体何があったの？　それともこれもまた片思い？？
って、（コミックス発売前に）一読してうろたえてたんですが、いや～、意地張ってなんぼの鳴子には惚れますよね。そりゃあまぼろしもクッキリしちゃうよね。
「つないだ手を掲げてゴールする」夢を鳴子くんから引き継いで、二人だけでも実現させようとしてる今泉くんにきゅんとしました。でもこの先が心配……。

しかし今泉くんは何故こんなにも『誰に対しても片思い』な感じがするんだろう、こちらの勝手な印象だけどでもほんとなんでだろう。とずっと疑問だったのですが、『巻ちゃんの教えを「こいつから教わった」と堂々と披露されてうろたえる坂道』に気づかない姿を見てようやく理解しました。
あの子、いつでも気持ちが一方通行なんだ。思い込みが激しくてときどきちょっと空回り、みたいな。
その少々残念なところがとても好きです。とても可愛い。
隙や可愛げってほんとに大事。

そしてRIDE.211。
今泉くん、折れない。折れない人になってた。
懸念事項だったメンタル面も成長してただただカッコイイ狐憑きになっていた……！
でもって別の意味で危惧してたみどくんの真の姿がそれほど怖くなかったのでほっとしました。よかった、これまでのバージョンアップだった。でもみどくんの超前傾姿勢はちょっとした拍子に前にぐるんってなりそうでドキドキする。ロードレーサーって軽いんでしょう？　しかもみどくんのはサイズ小さめなんでしょう？　バイクごと前転しちゃいそう。転ばないよう気をつけて～！
って思ってたらまさかこの先のコースがそんな。
わー、来週怖いなあ。超ハラハラする。大きな怪我だけはしないでほしい。

それはさておき鳴子！！　鳴子くん格好いい！！！！
野蛮なまでに意地を張り通すあの心意気、ほんと他に言葉がないぐらい男前だった。しかも可愛いとこは可愛いし。本誌で読んでたら大変だっただろうなあ、怒濤の鳴子ターン。ザ・侠気。
「素直に嫉妬するぜ」な今泉くんもいい子で可愛い。総北一年は可愛いな～。
新開にうちの子自慢する田所先輩にもきゅんとしました。田所っちの鳴子への期待と信頼が爽快だった。似たもの同士。

でもって息つく間もなくやってきた東巻で、血が湧くっていうか何かが沸騰しました。
「おまえの相手はオレッショ！！」
「……！！　ジャマだ巻ちゃん！！」
のとこでなんか吹きこぼれた。
今泉のエース宣言に嬉しくなっちゃった巻ちゃんの振り切れたテンション（楽しそう！）もさることながら、剥き出しの尽八に鳥肌立った。
IH3日目、ここまで淡々と自分の仕事をしてきた尽八が取り乱して叫んでる。「どけ、ジャマだ巻ちゃん！！　どけぇ！！」って全身全霊で叫んでる。
尽八はまっすぐに巻ちゃんを邪魔だと思えるんだなあ。最後の勝利の前に立ちはだかる相手が『共に競い合い高めあってきた相手』ってこういうことなんだなー。
尽八の中に迷いも曇りもない、純度の高い（しかも高熱の、そしてあらゆる）感情を生み出す相手がひたすらに巻ちゃんだということにリバナと二人で震えました。なんかもう慄然とした。
手加減も遠慮もなしにやり合える、対等で最愛の希有なライバルって、すごい。

それにしても一年生に驚かされっぱなしの巻ちゃんがいちいち楽しそうで、ああ、可愛いなあって心から。
「今泉くんがアタックかけた瞬間に並んでる東巻（見開き中央）の体格差が死にそうにときめく」ってリバナが言ってたけど、本当に尽八が分厚くて格好良くて、巻ちゃんが薄くて細くてくらっとしました。
何かに取り憑かれたように覚醒した今泉くんもとても楽しい。狐憑き顔が好きです。
知らぬ間にずっと頑張っていた石垣くんにはほろりとさせられました。あの子、将来「悪い奴に見えて本当に悪い人」とかに騙されないか心配（余計なお世話）。

おまけの美人巻ちゃん（超細い）の私服の複雑さに「これはオーダーメイドですらなく、もはや手作りなのでは？」って、なんとなく思ったり。
いや、美人だからなんでもいいんですけど。イヤマフ可愛いし。万が一うっかり妹さんの色つきリップを使っちゃったんだとしても全然いいんですけど（じっと見てると唇のトーンが陰影ではなく色に見えてきちゃって……）。

友人っていうか相方に
「坂道に殴られたがる今泉くんのことを、みどくんが『ブタ』と呼び始めたよ」
と今週の本誌の内容をひと言で伝えたら「おねた、それ何のこと？？？」っておかしな妄想と間違われそうになりました。いや、そんなひどいこと考えないから。想像もしないことが紙面で起きてただけだから。
あまりの暴言に、プライドが高くて負けず嫌いで無自覚Ｍの男子高校生が何かに目覚めちゃったらどうするの、と今泉くんの身の上を案じてしまいました。

しかしみどくんの『まるでジャングルに取り残された日本兵が食料を発見したかのような様子』はかなりのどっきりでした。そっち方向に凄絶な描写も想像してなかったな～。餓鬼かな。あの腹部って地獄の亡者かな、彼のイメージ。
身の回りには「みどくんの変顔が面白かった！」て人もいたんですが、私はあのお食事風景がちと怖かったので、彼のここまでの補給食はもみじまんじゅうだった、という謎の想像で気を紛らわせることにしました。
広島の人たちの付け届けのもみじまんじゅうを、両手で持って食べながら来た。
そう思うと少し和む。
中学の修学旅行で食べたできたてあつあつのチーズもみまんがすごくおいしくて、中学の一時期もみじまんじゅうにはまっていたことをほんのりと思い出しました。

ちなみに相方が『尽八と後方でサイクリングデート中の（固形の補給食を持たない※）巻ちゃんが、尽八のとっておきの補給食「羊羹」を二人で半分こしてたらかわいいね』と言い出したので、
「栗のところを食べていいぞ、巻ちゃん！」
「……（もごもごするから栗はあんま好きじゃないっショ）」
「もう一本あるぞ！　巻ちゃん！」
「…（コイツ重い羊羹二本持ったまま登ってたのかヨ…）」
ていうコントが私たちの間で一瞬繰り広げられました。
「巻ちゃんの分も持って来たんだ（お弁当作ってきたんだ的なノリで）」って言われたらなんかちょっと断れないだろうねっていう。で、尽八の背中で温められた羊羹を食べつつ『「お茶飲みてぇな…」ってなりだす』と相方（りばな）が言っていた。「あはは、羊羹！　尽八に似合う！」って乗っておいてなんだけど、なんなんだろうその状況。
栗ようかんの栗をあげる尽八は、ショートケーキの大事ないちごも「食べていいぞ、巻ちゃん」って言うと思います←私が考える尽八の愛情表現。

※９巻で寒咲マネが用意している補給食、巻島先輩は「スペシャル配合のドリンク」とゼリー状らしき補給食３つだったので（途中のサコッシュにはバーとか入ってると思うけど）、なんとなく水気がないものは苦手なのかな、と。そして巻ちゃんだけスペシャル配合なドリンクがずっと気になってます。

みどクンの不気味描写に気を取られて脱線しましたが、「ギラッ」と本気になったっぽい真波くんが何より不気味でした。怖いな～、あの子。レースの展開的な意味で怖い。
新開さんの「ヒュウ」「いやぁ…」に引き続き、尽八の指で前髪クリンてするやつも継承してたけど、荒北と福ちゃんの真似っこもしてくれないかな（一人でハコガク3年を受け継ぐ男、みたいな）。相方が「最後には『俺も強い！』とか…」と言ったので噴き出しました。「俺も」ってなんか可愛い。

下の名で呼ばれて赤くなる坂道くんと、てらいなく褒められてちょっと照れちゃう今泉くん。なるほど、これが今坂か～（漠然と把握）。
自信満々な今泉くんはとても心配だけど格好いいな、って思ってたら唐突にみどくんをおかしなあだ名で呼び出したので噴き出しました。その悪口、言いにくいよね？　ていうか御堂筋の「ど」の部分が力が入るとこなのに「も」にしちゃったからなんかふんわりした響きになっちゃったよね。
そんな今泉くんの少し残念なところが好きです。
でも「ゴールをえぐり獲れ」「尽くすぞ、全力を」はストレートにときめきました。スポーツものにおけるそういう熱いというか強い台詞はとても好きです。わくわくする。

で、みどくんにはまだ何か『とっておき』的な手があるようで。
どうしよう、せっかく慣れたのにさらにありえないほど恐ろしい形態変化とかしちゃったら。というか『真の姿』っていまはまさか仮の姿なんですか？　その本来の姿、京伏の皆さんもご存じなんですか？
あ……もしも石垣くんたちが本当の姿を知らないんだったらなんだか切ない気がする。というか『自分たちのエースの正体を知らずに死ぬ気で牽いてきた』とか言うとかなりホラーな感じになっちゃうので、真の能力を発揮したみどくんの姿があまり怖くないといいなと思ってます。
なんせここ上り坂じゃなかった？　ってコースで両手でエナジーバー食べてるし（坂で手放し運転ってどんだけすごい背筋と足腰なの）……。カロリー摂ったとたんに身長３メートルになったり、あっちの鬼よりすごい形相になったりしないといいな。心臓に悪いから。
しかしあんなに小さいものを両手で持って食べるとは。
もしかしておにぎりやコップも両手で持つのかな。普段そんなちっちゃい子みたいな姿を見ているから石垣くんはみどくんに優しいのかな。おにぎりはともかくボトルを両手で持って飲んでたらほ乳瓶みたいになりそうだし、なんかこう、保護欲をくすぐられたのでしょうか。

今回は今泉くんの色んな表情が一度に見られて楽しかったです。
妖怪化した鳴子くん（鬼気迫る表情という意味）は23巻で見られるのかしら。楽しみ。
しかし「どこへ行く御堂筋」などと余裕を見せている今泉くんがどうしても心配です。みどくんをどこにも行かせないようほんと頑張ってほしい。

三つ巴が案外さっくり決着したな～って思ったけど、福ちゃんの背中が見えてたんだから勝負はそりゃ一瞬ですよね。
真「いい、そのままいって」坂「（ぞくっ…）はい」
って、感嘆符を抜いたらなんとなく困ったことになるなあとしょうもないことを考えたり。

坂道にもみどくんにも上から目線の真波くんがまるでインハイラストを何度も経験した人みたいなことを言っていたので、きみはいままでどんなレースを戦ってきたの？　と少々不思議な気持ちに。いつか中学時代の活躍が描かれるのか、それとも完全に天性のダークホースなのかうっすら気になるところです。
でもって、いま現在チームのためだけに走ってる坂道が『みんなのため』の壁を突き抜けて『自分が勝ちたい』というところまでいけるのか（スポーツ選手としてそこまで成長できるのか）ってことがずっと気がかりだったのですが、真波くんが『もしそこに勝つって意志があったら』とど真ん中の問題提起をしてくれたからなんだかすっきりしました。作品内でちゃんと答えが出るんだな、と。

ちなみにその問題、私と友人の間では『チームのために僕が勝ちたい』止まりじゃないかとほんと漠然と予想してます。
『このメンバーじゃなかったら頑張れない』っていうのはスポーツ選手としてかなりの弱点なので「止まり」って表現になってしまうのですが、いまの坂道くんにはもちろん「現在の総北メンバーのためだからこそ能力以上の力を発揮できる人」であってほしい。そのまっすぐな純真さが彼の強みだし、作品的な魅力だし（第一少年漫画の主人公だし）。
で、そこからステップアップしていつか将来（１話冒頭の描写）的に「（メンバーが誰であっても）チームのために勝ちたい」という理想的優等生的エースになってくれるといいなって（実際のロードレースを見て「メンバーはエース一人を勝たせるためだけに存在する」「エースはメンバー全員のために勝ちに行く」ということをだいぶ理解した気がするので）思っています。
坂道は自分の勝ちにこだわるタイプにはなり得ないから、絶対的エースで「俺は強い」の福ちゃんとも好対照なのかな～。それを言ったらみどくんとも真逆か。
エースに急浮上したらしい今泉VS因縁の御堂筋、初期からライバルっぽい真波VS坂道ばかり気にしてましたけど、坂道VS福ちゃんの「エースの信念対決」とかもあるのかな。フリーダムな真波んがどう動くのかわかりませんが。あの子はいろいろわからない……。
最終的に真波VS坂道とかになったらどうしよう。それじゃみどくんが可哀想。でもみどくん・真波・坂道の対決になったら福ちゃんと今泉くんが切なすぎる。しかし5人でもつれ合うのもややこしい。う～ん。

今泉くんの状況解説、静かにぎらぎらしてる福ちゃんが格好良かったです。
あまり話が動いてないので大騒ぎする感想はないんですが、仲間に力をもらいながら頑張っている坂道くんに素直にどきどきしました。頑張れ坂道！
ちょうど明け方に昨日のジロのTTTのハイライト映像を見たとこだったので（マリアローザの選手がコースアウトしてタイヤにめっちゃ草が絡まって往生してた）、草！　草だいじょうぶ？　って一瞬心配してしまいました。

昨日22巻を読んだあと、坂道くんは本当に素直で真面目でいい子だな～ってしみじみしながら風呂に入ってたんですが、なぜかふと、”でもあのちょくちょく出てくる『振り向けば坂道』って状況、なんか「夜道を走っていたらどこからともなく現れた何者かが、信じられない速度で笑いながらついてくる」っていうよくある怪談のあれみたいだな”って、本当になぜかちらっと思ってしまって。

御堂筋あきらくん（仮名）（※声は変えてあります）
「あれは高１の夏のことです。その夜、私は一人で箱根の国道を走っていました。ええ、インハイ二日目の夜です。京都までのロングライドの予定やったから、そのときはけっこうスローペースで走ってたんです。車もほとんど通らない夜道で……ふと何かの気配を感じて振り向くと、いつの間にか小さい人が私の後ろにいました。キモ、て思てすぐに速度をあげたんですが、その小さい人はぴったり後ろに張り付いたまま、笑いながらこっちに何か話しかけてきはるんです。怖くなってさらにスピードをあげたんですが、それでもその人、どこまでもどこまでもついてくるんです。楽しそうに笑いながら……」

髪を洗ってる最中に「後ろに誰かが」なんてことを思い浮かべたら怖かったので、共通語で体験談を語るみどくんを想像して気を紛らわせました。
「御堂筋くん、そんな！？」って背後でがーんってなってる坂道を想像したら無事和みました。

真っ先に言うことでもないんですが、尽八が格好良すぎて「ふわ」って変な声が出そうになりました。

でもって泉田くんは幸せな片思いだな～。報われてる！
ついでに荒北も報われていたのだと改めて納得。
21巻を読んだとき、荒北へのオーダー（最後の大会のラストステージなのにエースアシストじゃない）が釈然としないというか、なんか切ない気がしてたんですが、ラストが登りでその手前のフラットで引き離す作戦ならあれが盤石だったのですね。
新開の様子からしてもうちょっと先まで荒北を連れて行きたかったんだろうけど、あそこで死力を振り絞った荒北に悔いはないんだなって。一番欲しい言葉を福ちゃんにもらえたし。
その福ちゃんは金城のことばっか気にしてましたけど。
ハコガクはなんであんなに思い人に一途な人ばかりなんだろう。可愛すぎる。

総北は故障を抱えてる金城さんがいち抜けなのかなって（21巻から現在までを知らない人間として）漠然と思ってたので、鳴子の涙にたいそう胸を締め付けられました。オイ見てるか赤頭って、田所先輩かっこいい……！！
そのように全力を出し切って仕事をやり遂げた泉田と田所っち（新開もかな？）はお疲れ様でしただけど、金城の無念を思うとやはり切ない。
「互いに支え合う」と言ってきたのに坂道に支えられて「そういえば」ってなってたのが一瞬不思議だったんですが、2年からエースナンバー背負ってた人なんだから「自分がゴールまで行く」「オレがチームに勝利をもたらす」っていうのはきっともはや疑う余地のない、ほとんど本能みたいなものだったんでしょうね。去年エースの仕事ができなかった分この一年間ずっとそのイメージが頭にあっただろうし、前日までそうやってきたんだし。
巻ちゃんも三年間を共にした『オレたちのエース』を引いて登りたかっただろうな～。悔しいね。私も悔しい。
しかし膝は選手生命に関わるので今後の競技人生に支障のない怪我であってほしいな、と。リタイアした選手ってチームカーが回収しに来るのかな。膝をやった経験のある寒咲兄に悔しさを受け止めてもらってほしいです。
先輩はいつでも後輩にとって大きな存在であってほしい。

でもって「うそだろ金城おお！！」を経ての「巻島をたのんだぞ」という金城さんが、末っ子に「お母さんを頼むぞ」って言ってるお父さんみたいで、頼まれちゃってる巻ちゃんの身の上にきゅんとしました（そのあとの目から汗が流れてる巻ちゃん美人）。
あ、直線鬼が現れたときの今泉くんの驚きっぷりが楽しかったです。

そして夜のミーティングの前かあとかわかりませんが、月明かりのもと明日の展望を話し合う３年生、なんかじじむさ……渋いなって。夜風に当たる高校生。この人たち、3年最後のレースの激しさとか景色とか夏の匂いと一緒に、この夜の波の音も思い出すんだろうなあ。何年経っても。
あと、総北が追いついたときの尽八（片目しか描かれてないけど）が巻ちゃんの位置を確認してるように見えて、尽八は徹底して尽八だなと感心しました。

先輩の言うことをまっすぐに受け止める坂道くんは本当に素直で真面目でいい子ですね。
そういえば京伏はどこでどうなっているのかな。