NO.9｜ときどき日記

父が趣味で散歩をするんですけどね。川沿いを毎朝１時間ほど（ウォーキングではありませんが、体力維持を兼ねているのでわりと距離を歩きます）。
しかしこのところ貧血気味で疲れやすいらしく（歳も歳です）、彼が「散歩に行くのもだるいぐらいの日があるんだよなあ」とぽろりとこぼしたので、「じゃあやめとけば？」と母が言ったのです。

父「いや、やめないけど」
母「なんで？　散歩なんて無理して行くようなものじゃないでしょ」
父「だって鳥が待ってるし」
母「それ自分が見たいだけよね？」（父はその辺の野鳥を眺めるのが好きです。）
父「いいや、俺のアオサギが待ってるんだ。最近キジとも顔見知りになったところだし」
……『俺の』って何。

しかし父にはカー子という友達（野良カラス。父を見ると寄ってきて、通行人が来ると父の後ろに隠れる）がいて、そのカラスを見かけると「おはよう」と挨拶しているようなので、もしや川の真ん中にたたずむアオサギに呼びかけたりしているのか（端から見たら変な人）、『俺の』というほど親交を深めているのかと心配になって尋ねたところ
父「ううん、声はかけないよ。写真は撮るけど」
私「よかった、（河原から鳥に向かって大声で）挨拶したことはないのね」
父「前におはようって言ったら逃げられたから」
あ、しちゃってた。一瞬ほっとしたのに……。
そして父→アオサギの友情は完全に片思い。

私「ねえ、明らかに待たれてないよね。きみが行かなくてもその鳥寂しがらないよね？」
父「でもあいつ、会うと『あ、おまえか』って顔するんだぞ」
私「いや、そんなに好きなら会いに行くなとは言わないけど……」

子供みたいなことを言うのでうっかり中学生の純情片思いみたいな父の行動（遠くから見てるだけで満足／餌というプレゼントを渡すわけでも何でもない）を認めてしまいましたが、しかしちょっと具合が悪くても見に行きたいってどんだけ好きなの。
思わず「キジとはもっと仲良くなれるといいね」と応援してしまいました。
そしたら「キジはそんなに好きじゃない」って言われた。
うん、そうだね。顔がちょっと怖い気がするね……。

でもキジって本当にキジなんですね。父がデジカメで撮ってきた河原の野良キジを見て「わ、桃太郎」って言っちゃった。あんな派手な鳥が街中の川沿いをうろうろしてるってなんだか不思議（田舎だけど不思議）。
犬の散歩をさせてる人も野良猫もけっこういるのにな～。